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日本療養病床協会ソーシャルワーク委員会アンケート集計を終えて
 

                                  ソーシャルワーク委員会 榊原次郎
                                   (霞ケ関南病院 医療福祉相談部長)

平成19年1月に実施しましたソーシャルワーク委員会のアンケート調査は、237病院704名の医療ソーシャルワーカー(以下MSW)、MSWのいない病院では病院長や事務長等の方々からのご回答をいただくことが出来ました。調査協力に厚く御礼を申し上げます。
集計結果は全項目をホームページにて掲載しておりますが、平成15年調査時との差異等、いくつかの特徴からの要点整理とまとめを報告させていただきます。

<要点>
1. 回答いただいた施設の91%(前回83%)にMSWがおり、その内の80%(85%)が常勤専任として業務を行っていた。MSWの配置率は確実に増加している。常勤専任は率が減少しており、常勤で多職種との兼任16%(13%)が増加している。その兼任はケアマネジャーが45%と最も多い。

2. 年齢は30歳未満が50%(62%)、経験年数は5年未満が60%(65%)と、引き続き年齢・経験の浅い職員が半数を占めているが、前回に比べると年齢・経験年数共に上昇しており、一定の定着率が保たれているようにも見受けられる。

3. 取得資格では取得資格がない6%(15%)が大幅に減少し、社会福祉士60%(45%)・精神保健福祉士19%(11%)・ケアマネジャー27%(22%)と相談援助職としての資格が増加している。

4. 管理職に携わっているMSWの有無では、MSW内に管理職がいる47%(41%)が、いない46%(58%)を上回っており、組織上の所属も独立部門として位置付けられている施設が半数存在している。

5. 100項目にわたる業務内容では、「MSW機能の中核として意識している項目」は、入院相談や個別面接等の相談援助群や、社会資源や法律制度等の情報収集群が高い率を示しており、これは前回と同様に普遍的な業務項目として位置づけられている。「施設からの期待項目」とに差が生じている項目は、入院患者のベッド調整(ベッドコントロール)・未収金の対策・渉外(営業)等であり、自らのポジショニング(立ち位置)や役割に悩んでいるMSWの姿が感じられた。しかしながら、「今後行いたい項目」として、病棟との情報交換の強化・在宅ケアへのコーディネート以外にも、社会資源や地域医療連携の情報収集・入退院統計の集計分析・月報年報の作成が高くなっており、ソーシャルワーカーの専門性から病院経営に貢献できる分野も明らかになっている。

6. 今までの委員会活動や全国研究大会でのシンポジウム等から提唱されてきた療養病床におけるMSWの役割(ヾ擬垈搬欧班賊,鬚弔覆案院受け入れ窓口業務、∈濛靂斗楷擬圓亮け入れ援助や治療終了後の退院援助、D拘療養患者への生きがい・尊厳保持・QOL向上・家族支援業務、っ楼莽携の中核)は、「そう思う」という回答がそれぞれ80〜96%となり、一定のコンセンサスを得られてきた。

7. この療養病床におけるMSWの4つの役割を具現化するための、療養病床施設基準へのMSW必置については、75%が賛成を示している。また、必置実現による病院に対しての貢献項目としては、入退院調整の効率化88%・地域の情報収集や連携強化87%・病床稼働率の向上62%等が上位となり、患者家族に対しての貢献としては、療養中の心理社会的問題の解決調整をして退院が88%・経済的問題の解決調整が80%となっている。

8. MSWが施設基準となった場合の妥当と考える配置では、入院患者:MSWは50:1が一番多く、病棟・種別・病院:MSWでは1病棟:1MSWとの回答がトップであった。

<まとめ>
今回のアンケート調査は、医療区分制度の開始や療養病床自体の削減等、病院経営者ですら将来的な先行き不透明と言われる中で行われた。この膨大な集計結果からは、ソーシャルワーカーも増加する医療費をどう削減させ、在院日数を短縮化できるかという国としての命題に取り組み、その中で患者家族と病院経営の両方に役立つ業務を遂行しようと努力している姿が明らかになった。
今後も療養病床にソーシャルワーカーが定数定率配置されていくことにより、患者家族・病院施設・国それぞれに貢献していくことを示す根拠のある調査やデータを集積していきたい。

   

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