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平成23年度 第3回 慢性期入院医療の包括評価調査分科会
武久会長出席のご報告

 

開催日時:平成23年6月17日(金) 場所:厚生労働省

 
 
6月17日に平成23年度第3回慢性期入院医療の包括評価調査分科会が開催され、武久洋三会長が委員として出席致しました。今回の分科会は、主に認知症に関する審議が行われ、武久会長からは、下記のような発言が行われました。
 

 

 
  (武久洋三会長 発言要旨)  
  平成20年度改定で、認知症加算(CPS)5点が廃止された。本日提出された精神病床入院患者の資料を見ても、認知症患者には医療・介護の手間がかかることは明らかである。認知症の診断は、認知能力の診断や見られる症状、行動などから総合的に行われるもので、前回の分科会資料からも、どの病床種別で認知症の患者を診ても、時間、費用ともに負担がかかっていることが示されている。  
 
認知症加算の廃止はタイムスタディの結果によって行われたということであるが、対象となった病院のタイムスタディのデータのみを根拠に認知症の評価が行われるのでは、認知症患者の調査結果との整合性や意味がなく、多くの現場の実態ともかけ離れている。タイムスタディは、一つの参考資料にはなるかもしれないが、そのデータのみで実態を判断できるものではないことを強く言いたい。平成24年度改定では、認知症への正当な評価として加算(20点程度)を復活させるべきである。
 
 
医療療養は、医療区分という点数で包括化されているが、医療の現場では、患者個々に個別対応しており、状態像がセットで考えられてよいはずはない。現在の評価方法では、記録の煩雑さからチェックが省略されていることが多分にあると思われるが、医療区分2や3の項目が複数重なった患者にはスタッフの大変な労力がかかっているため、当然加算を付けるべきであり、1分間タイムスタディで以前に差が見られなかったからと言って葬り去ることはできない。現場では医療的に重度な患者が非常に増えており、これは医療療養だけではなく、介護療養についても言えることである。以前と比較にならないほど医療的処置が増えているのに、医療がまるめになっていることはおかしい。
 
 
重症の患者を多く診るために看護師などの加配をして事故が起こらないようにしているなど、病院側で独自の努力をしていることがすべて1分間タイムスタディの結果で証明されなければ一切改善できないとすると、あまりに理不尽ではないか。重症患者を診ていても手間はかからないという結果が出ること自体が理屈にあわない。1分間タイムスタディに参加する病院やスタッフのレベルなど変数部分が多い検証方法の上に確定的なことは言えない。ましてや、そのようないい加減な検証方法で我々現場の殺生権が左右されるとはとんでもないことだ。1分間タイムスタディという検証方法には大いに疑問を持っている。
 
 
一般病床、療養病床という分け方は、すでに過去の考え方である。これからの医療は、ハードの基準をそろえた上で、スタッフの数と患者の病態に応じ、急性期、回復期、慢性期という流れを作っていかなければならない。1か月を超える入院は急性期とは言えないのではないか。一般病床の13:1、15:1、特定除外の入院を含め、慢性期医療の再構築を図ることが国民の利益に供すると考える。
 
 

 
 

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