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栄養ケア・マネジメント実態調査報告   集計結果(PDF形式)
 

日本療養病床協会 栄養・摂食管理委員会 都築尚子(秋津鴻池病院)
2006.9.7報告

 平成17年10月の介護保険制度改定によって、介護保険施設では、栄養マネジメント加算が、医療保険では診療報酬改訂で今年4月から栄養管理実施加算が新設されました。そこで、栄養・摂食管理委員会では療養病床における栄養ケア・マネジメント体制や業務実態の把握、またその業務上の問題点や低栄養状態の改善状況を明らかにすることを目的に、実態調査を行いました。

 調査対象は日本療養病床協会会員660病院で、調査用紙を郵送し、FAXにて回収を行いました。回答病院は、237病院、回収率35.9%、そのうち、介護保険療養病床を持つ病院は152病院でした。

 平成18年3月末で給食を委託しているところは一部委託を含めて56%となっており、平成17年9月と比較して若干ではありますが増加しています。

 平成18年4月の医療保険療養病床における栄養管理実施加算の請求状況は、加算請求した病院が87%、していない病院は8%。介護保険療養病床における栄養マネジメント加算は、多くの病院では、改正直後の10月から高い割合で請求されており、平成18年3月の時点でほとんどの病院で加算請求されており、していない病院は3%のみという結果となりました。

 介護保険療養病床における経口移行・経口維持加算については、経管栄養の方を対象とした経口移行加算は4月現在40.1%の病院で実施されており、経口摂取できるものの、著しい誤嚥が認められる方を対象にした経口維持加算気砲弔い討蓮86.8%の病院で実施されていませんでしたが、4月に新設されたばかりの経口維持加算兇砲弔い討魯璽躔錣79.6%、実施している病院は、件数にひらきはあるものの18.5%となりました。

 医療保険と介護保険での栄養ケアの書式の違いについての調査では、栄養管理計画書は、厚生労働省から様式例が出されていたため、それに準じているところが多く、書式は別様式の割合が特に多かったが、その他の書式についても別にしているところが多かった。

 介護保険での栄養スクリーニング指標の項目の利用状況は、BMIが97%でほとんどの施設で利用されていた。体重減少率は79%、血清アルブミン値は66%が利用されており、食事摂取量は経腸栄養との併用で利用状況が不明であるが、利用していない施設は3.5%と血清アルブミン値以外の指標を積極的に利用されていた。

 栄養スクリーニング開始月の指標別の低栄養状態のリスク者の出現状況は、BMIの中・高リスク者は56.7%、食事摂取量は22%、体重減少率の中リスク者は21.1%、高リスク者は7.8%、血清アルブミン値の中リスク者は46.7%、高リスク者は15%であった。

 低栄養状態の改善状況は、栄養マネジメント加算が新設された昨年10月、もしくは栄養ケア・マネジメントを開始した月から3ヵ月後の変化を、介護保険病床を対象に調査したものです。個別票をとっての調査ではなく、施設ごとの申告によるものです。

 BMIの3ヵ月後の再スクリーニングの実施率は87%、そのうち、中・高リスクから低リスクへと改善が見られた割合は12.6%。体重減少率の再スクリーニングの実施率は88%で、中リスクから低リスクへの改善が42.7%、高リスクから中リスクが13%、高リスクから低リスクは36.6%。血清アルブミン値の再スクリーニングの実施率が81%で、そのうち中リスクから低リスクへの改善が14.8%、高リスクから中リスクが15%、高リスクから低リスクへは5.7%。食事摂取量の再スクリーニングの実施率は89%で、そのうち中・高リスクから低リスクへと改善が見られた割合は30.8%となりました。また、低リスクを維持した割合は血清ALBが7割、それ以外は8割〜9割弱維持されていました。

 3ヵ月後に経腸栄養から経口へ移行した割合は5.3%、静脈栄養法から経口へ移行した割合は7.6%、褥瘡については46.9%に改善が見られたという結果となり、すべてが栄養改善によるものとはいいきれませんが、栄養ケアを行うことによって低栄養の改善効果があったものと思われます。

 栄養ケア・マネジメントの各業務の主担当者は、栄養スクリーニング、アセスメント、モニタリングについては、ほとんどの病院で管理栄養士が業務の主な役割を担っていました。栄養ケア計画は管理栄養士が主担当者である割合が他の業務と比べ最も高く、92.1%。それに対し、担当者会議、利用者・家族への説明、経口移行については医師、看護師、言語聴覚士、介護支援専門員が主担当者である割合が多く見られ、ほとんどの職種が協働者として栄養ケアに参画していることがわかりました。

 管理栄養士が栄養ケア・マネジメントを行って「よかった」と感じていることには、「低栄養状態の把握や改善が行われたこと」78.9%、「他職種との連携ができたこと」73%、・「食べることが重視されたこと」61.7%、「業務にやりがいを感じられたこと」43.4%、「利用者・家族が喜んだこと」36.2%となりました。

 栄養ケア・マネジメント推進上の課題で一番多かったのは、人員の配置や不足に関することで67.1%、つぎに食事の個別化が56.6%、時間外業務の増大は55.3%、以下様々な課題が挙がっております。

 管理栄養士一人当たり何人の患者の栄養ケア業務が望ましいと思うかという質問に対して、医療保険療養病床では42人、介護保険療養病床では38人という結果となり、回答した病院の常勤の管理栄養士数の平均は、100床当たり1.24人、一人当たりの病床数は80.6床となり、実際は、理想と考える患者数の2倍の患者さんの栄養ケア業務を行っている現状にあると思われます。

(まとめ)
  この実態調査結果から、各病院では、それぞれに課題を抱えながらも栄養ケア・マネジメントの取り組みが推進されていることがわかりました。さらに栄養改善に関する成果については、施設による申告数に対する信頼性、比較対象がない信頼性の問題はありますが、少なくとも低栄養状態の中・高リスク者における栄養改善が栄養ケア・マネジメント導入の3ケ月後にみられ、また低リスク者の8割前後が維持されていることが明らかになり、低栄養状態の改善に対しても有用性が示唆されたと思われます。今後は、適切な栄養ケアを効率的に提供できる体制や方法のあり方を検討し、さらに多職種協働による栄養ケアが患者様のQOLにどのように寄与しているのかの検証を行い、栄養ケアの質の向上に取り組んでいかなければならないと思われます。

   

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