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新しい年を迎えて
−医療療養病床の機能と存在を確立していくことが重要−
 
機関誌LTC第49号(平成18年1月号)より
 

 平成18年の新しい年を迎えました。会員の皆様には日々医療に介護に真剣に取り組んでおられることと思っております。本来新年にあたって「おめでとうございます。今年もいい年でありますように」というのが恒例ですが、今の情勢ではなかなか素直におめでとうございますといえる状況ではないようです。しかし、いま療養病床のあり方を考え、その存在を確立する絶好の機会とも考えられます。

 昨年の11月30日の中医協で医療療養病床の医療区分別報酬が承認され、導入に向かって各方面で努力がなされています。これは医療療養病床に入院している患者を手間のかかり具合やADLによって11区分に分類し報酬を支払うものです。報酬の支払いは11分類よりも少なくなると思われますが、いくつになるかはまだわかりません。特殊疾患療養病棟もこの分類に含まれる可能性があります。

 中医協で行われた慢性期入院医療実態調査では、医療区分1が50.2%、医療区分2が37.2%、医療区分3が12.6%となりました。平成16年6月30日の案では、医療区分1が64.0%でしたので、かなり改善はしてきていると思います。しかし、医療区分1は医療区分2、3でないものとなっているので、医療の必要性が高い患者も医療区分1に含まれている可能性があります。これは今後現場の意見で調整していく必要があります。

 今後、医療療養病床はこの医療区分2、3を中心に診ていく病院といえます。当然、今までよりも手間も費用もかかることになり、職員にそれなりの給与が払える報酬体系が必要であると強く主張しています。

 昨年12月7日の介護給付費分科会で介護保険施設の将来像が示されました。\験莉纏觀燭了楡漾↓∈濛霽帰・在宅生活支援重視型の施設、0絣愿管理重視型の施設の3つとされ、今回新たに示されたことは医療保険と介護保険の機能分担という観点から介護保険では ↓△鮹羶瓦箸垢戮という方向性が示されました。

 これは、特別養護老人ホームと老人保健施設は介護保険で、介護療養型医療施設は重度医療部分は医療保険に特化し、それ以外は老人保健施設や特別養護老人ホーム、有料老人ホームに転換してはどうかということになります。介護療養型医療施設は存在しなくなることを意味しています。

 いま、介護療養型医療施設の入院患者の平均要介護度は4.27です。介護老人保健施設は3.18、介護老人福祉施設は3.74と明らかに差があります。もし、介護療養型医療施設がなくなった時に要介護度の高い人をどこがケアするのかはっきりしておかなくてはなりません。その体制ができない限り、介護療養型医療施設をなくすのは利用者に大きな不安を残すことになります。

 医療保険と介護保険の役割を明確にするのは前進と思われますが、重介護の利用者が困るような制度にしてはいけません。医師をはじめとしたチーム医療の実施や、多くの職種がいる療養病床は在宅支援の機能も大いに発揮できると考えています。これから増え続ける在宅の高齢者の医療や介護は療養病床が支えるという気概を持って取り組んでいくことが重要と考えます。療養病床なくして、日本の高齢者医療や介護は成り立たないと考えています。

 いずれにしても、療養病床を減らそうという方向に向かっています。世界的に見ても多い日本の病床数を減らそうという動きです。この動きは現在の政治情勢では動かしがたい現実となっています。これに対応して、まず医療療養病床の機能と存在を確立するべきです。困難なことがあると思いますが、医療区分2、3を診る病院の存在を確立しなければなりません。

 高齢者は今後もどんどん増え続けます。私たちが診なければならない患者も増え続けます。療養病床の存在価値も増え続けると考えます。機能を充実し病院らしくあり続けることが私たちの使命と考えます。これが実現できれば、新年に心からおめでとうございますといえると思います。                                      (平成18年元旦)

 

 
 

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