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在宅支援の在り方に関する日本療養病床協会の見解 平成19年6月22日

 
 
     
  療養病床における在宅支援の在り方について  
 
日本療養病床協会 在宅支援に関する検討委員会 委員長 池端幸彦
 
 

各都道府県で地域ケア整備構想に伴う体制が検討されつつある中、「在宅療養」の医療提供体制をどう構築するかは大変重要な課題である。在宅療養の患者が、慢性疾患の急性増悪や軽症の肺炎や手術を要しない骨折等の疾患を併発した場合、急性期病院での集中的高度医療を受けることは、本人にとっても、また、医療経済面からみても必ずしも好ましいとは言えない。本人の意志を尊重し、尊厳を持って人生を最後まで支えていくには、地域で包括的な医療を提供できる体制こそが今求められている。

一方、在宅療養支援診療所は数こそ増え続けているものの、一部を除いては積極的に看取り加算を算定していない。その原因の一つに24時間体制への不安がある。療養病床が診療所と連携するならば、複数医師による24時間体制が組みやすく、高齢者医療のノウハウも豊かなことから、在宅療養において果たすべき役割は非常に大きいと考えられる。 

そこで「地域支援型慢性期医療拠点」を提案したい。すなわち、地域支援型慢性期病床(仮称)が、一般診療所と在宅療養支援診療所と連携し合い、介護サービス拠点との密な連携も図ることで在宅療養を支援していく。さらに、この医療拠点が特別養護老人ホームや老人保健施設等の介護保険施設との医療連携を担う一方、急性期病院や回復期リハビリテーション病院等の後方支援や患者紹介を受けることもすすめていく。このように、在宅療養支援診療所に、一般診療所や療養病床の在宅支援機能を組み込むことで、地域特性も生かした医療拠点を整備し、よりフレキシビリティの高い在宅医療連携体制が可能となる。

  療養病床の今後の展開としては、神経難病等のように常時医療ニーズの高い患者の受け皿的機能、および慢性期疾患の急性憎悪等を含めた「地域支援型慢性期医療拠点」としての二つの機能が、大変重要な使命であると考える。

※イメージ図はPDFでも参照できます。
https://jamcf.jp/chairman070622-2-1.pdf

 
     
  地域連携『徳島方式』について  日本療養病床協会 副会長 武久洋三
 

在宅療養連携のモデルがこれまでいくつか示されている。しかし、これらのモデルは急性期病院から直接、診療所に連携せざるを得ない地域事情と開業医の献身的な努力がその背景にあり、一般的な普及は難しいであろう。

今後、急性期病院の平均在院日数がさらに短縮されれば、回復に日数を要する高齢者は、在宅や介護保険施設に移行するために少なくとも1〜2ヶ月は回復期リハや療養病床などの慢性期病院への入院を必要とする。高齢者にとっては、急性期での入院期間が2週間程であったとしても、筋肉の萎縮や関節の拘縮が始まる。そのQOLを回復するためには慢性期病院の役割は欠かせない。

また、在宅、あるいは介護保険施設等で嚥下性肺炎、低栄養、脱水、尿路感染症、褥瘡など、高齢者に特有の急性増悪を起こした場合は、地域の慢性期病院でリハビリテーションを受けながら治療することが早期回復につながるであろう。

徳島市は、医師数と医療機関数、介護保険施設数が人口比において全国でもトップクラスにある。この恵まれた地域で、「徳島方式」という新たな地域連携を作りつつあるので報告したい。

「徳島方式」では、『開放型病床連携』、『在宅療養支援診療所連携』、『緊急入院連携』の3パターンがあり、全てに連携するか、いずれかに連携するかは開業医が自由に選択できる。『開放型病床連携』は、療養病床のベッドを開放し、開業医は入院させた自分の患者を回診し、必要な検査・治療を行い、自らの判断で退院させることができる。

この「徳島方式」の一番の特徴は、急性期病院・療養病床等の慢性期病院・介護保険施設・開業医等の相互連携である。慢性期病院が持つ公的機能を最大限に活用しようとするものである。

各ステップで各医療機関がそれぞれの役割を果たすならば、真の意味で患者のために継続した医療・介護が実現すると考える 。


※イメージ図はPDFでも参照できます。
https://jamcf.jp/chairman070622-2-2.pdf

 

 
 

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