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ニュース】療養病床問題を考える議員の会の活動について
  自由民主党内に「療養病床問題を考える国会議員の会」が発足、受け皿施設のあり方など提言の取りまとめに (08/05/28)
 
 

 本年3月8日、自由民主党内に中山太郎衆議院議員を会長とする療養病床問題を考える国会議員の会が設立され、現在衆参合わせて128名の議員が加入、ゴールデンウィーク期間を除き現在まで毎週、合計7回、療養病床政策の見直し、附帯決議にある『ふさわしい受け皿づくり』を目標に異例とも言えるスピードで活発な議論を重ねている。これまで、都道府県厚生担当職員から地域ケア体制整備構想策定を巡るヒアリング、患者家族や学識経験者からのヒアリングが行われ、地域の特性を反映しない一律の参酌標準や、医療区分1=社会的入院という厚生労働省の図式により政策を進めることの危険性、大幅な収支の悪化のため受け皿施設への転換が進まないなど、潜在化していた問題が次々と俎上に上げられている。

 前々回5月13日は、日本療養病床協会会員も多数参加している介護療養型医療施設の存続を求める会が事業運営者としての意見を求められ、介護療養型医療施設は要医療・重介護状態の患者の受け入れ先としての役割を果たしており、アンケート調査から介護療養型医療施設の全廃をすれば53000人、医療療養病床削減分も含めれば11万人に及ぶ膨大な医療・介護難民の発生が予測されること、現在、利益率が3.4%程度といわれる介護療養型医療施設を、20%も介護報酬を削減した介護療養型老健に転換すれば廃院とせざるを得ないこと、報酬を下げれば人減らしをして軽い患者だけを診療せざるを得ず、この政策は重い患者は捨てる『姥捨て山推進策』となることを主張した。

 前回、5月23日は、やはり介護療養型医療施設の存続を求める会から、別紙の介護療養型医療施設全廃政策に対する質問が厚生労働省に対して提出され、老健局担当者が回答を行った。しかし、個々の質問に対し具体的な回答は得られず、中山太郎会長からこの療養病床問題はもはや官僚レベルの問題ではなく政治問題として決着すべき案件であるという認識が示された。この他、これまで参加の議員からは、要医療・重介護の患者の受け入れ先について深く議論すべきである、療養病床削減により救急医療を含めた地域の医療供給体制が崩壊する懸念が強くある、社会保障費2200億円の削減がもはや限界に来ている、後期高齢者医療問題と同様療養病床政策にリアリティがないなど、政策や受け皿施設のあり方の根本的な見直しを求める意見が相次いでいる。

 今後、療養病床問題を考える国会議員の会は、5月28日に討議を踏まえて意見を取りまとめ、6月11日に提言書を作成する予定としている。また、介護療養型医療施設の存続を求める会には、全国から14万人を超える署名が寄せられており、この署名の取り扱いについても協議が行われる予定である。
   

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