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ニュース】療養病床問題を考える議員の会の活動について
  受け皿施設の根本的な見直し・介護療養型医療施設廃止撤回も視野に入れた提言のとりまとめへ (08/06/04)
 
 

  6月4日、自由民主党の療養病床問題を考える国会議員の会は提言書とりまとめのための会合を行った。冒頭、出席議員からは、介護療養型医療施設全廃が実施された場合の懸念が次々に表明された。

  臼井日出男議員は「全廃実施までにまだ時間がある。自立支援法も後期高齢者もやった後に見直しとなっている。このまま介護療養型医療施設がなくなると世の中が混乱するし批判も受ける。問題が大きくなる前に見直さなければならない。」と述べ、清水鴻一郎議員も「本当にやらない方がよい場合は、やらない勇気が必要だ。」と全廃撤回もありうる姿勢を強調した。

  廃止を望むか受け皿施設の充実を望むかの問いかけに、介護療養型医療施設の存続を求める会の上川病院、吉岡充理事長は、「現場はスタッフを基準よりも多く配置して運営しているが介護報酬は連続してマイナス改定であった。もし受け皿をつくるのであれば最低限介護保険がはじまった時点の姿に戻して欲しい。」と介護療養型医療施設を介護保険施行当初の姿に戻すべきと主張した。

  けんなん病院の藤元秀一郎理事長も、「今までは戦争を体験した世代で我慢をしたが、これからの団塊の世代は主張する世代。求めるものも高く、介護療養型医療施設ですら満足しない。」と高水準の受け皿施設が必要とした。日本療養病床協会事務局長の福井の池端病院、池端幸彦理事長は、「平均在院日数短縮の命題をクリアしたいなら受け皿施設の看板だけ架け替えてソフトをそのままにする方法もある」とした上で、「個人的には元に戻して欲しい。小さな介護療養病床を多数抱えている福井のような県は出された受け皿施設の報酬では全く動けない。」と、地域の実情からも受け皿施設は不適切とした。

  その後、具体的な提言内容の検討に入り、元厚生労働大臣の津島雄二議員は「日本は独自の諸条件があり、欧米に比して在宅は機能しないと考えている」との認識を示し「現場は増員配置してよいものをやろうとしているが経営は大変厳しく、制度の実態が追いついていない。見直すのに良い時期である」と述べ、木村義雄議員も「介護保険はゴールドプランなどで整備をしてから実施したが、介護療養型医療施設廃止は最初に死刑を宣告して、それからどうしますかといっているようなもの」「介護施設の最大の悩みは医療がないということで、施設と病院を行ったりきたり転々とする、そういう患者を受け入れるところが介護療養病床で、それを議論が煮詰まっていないのに強行採決まで行って廃止を決めた。」と廃止の経緯を強く批判し、「野党も廃止法案を出す案件であろうが、われわれでしっかりした案、思いきった案を出して取り組むべきである。」と述べ、木村議員、津島議員いずれも「廃止法案」を提出可能とした。山崎拓議員も「介護保険は利用者から感謝の声があり、よいものを作れたという自負がある。介護療養型医療施設をなくしてしまった場合介護保険が評価されるのか。政策は、実施段階の世論を踏まえて実施すべきで、この問題は削減が終わった後ではなく、今対処するのが懸命」と、現段階での見直しを肯定した。

  会は、事務局長である飯島夕雁議員が、「介護療養型医療施設の機能を何としても残す」という方向、「現場が厳しい状況で運営しているので、財政、人員配置などの面で支援」し、「介護療養型医療施設のあるべき姿を取り戻す」という提言の骨子を確認し、次回の会合にこれらを土台にこれまでの意見を取りまとめて提言書を作成・提出することを承認した。同時に介護療養型医療施設の存続を求める会の14万を超える署名を舛添厚生労働大臣に提出する際、国会議員の署名も付して提出することを承認し、終了した。

   

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