療養病床の今後の行方については、かねてより議論されているところであります。当日本療養病床協会と致しましては、公共的な機関である病院を存続させることに努力するのは勿論のことですが、何よりも患者様が安心して適切な医療を受けられる環境を整えることを第一に考え、質の向上に努めてまいりました。
しかし、現在の制度の方向性から見れば、入院医療を必要としている患者様までも退院せざるを得なくなることが懸念されます。介護保険施設あるいは在宅においての医療提供体制はまだ十分に整備されているとはいえない状況の下で退院を迫られることは、即ち、高齢者への医療を切ることに他なりません。疾病や障害を持つ高齢者も、その特性に沿った医療サービスを受けることができれば、人生の最期をもっと豊かに過ごすことができるのです。
医療の需要人口の大半は高齢者であり、その比率はますます高くなる一方です。高齢者の医療費をカットすれば医療費の削減につながるということから、療養病床の削減も進められようとしています。しかし、私たちは皆、歳をとります。年齢とともに医療の必要度も増してくるのは当たり前のことです。高齢ということが医療を受けなくてもよい理由にはなりません。財政面からのみ推し進めようとする医療政策に、国民の理解は得られるのでしょうか。医療・保健・福祉に掛かる財源は最も優先されるべきものです。
療養病床の入院対象外の範疇に入れられようとしている患者様の状態像を掲載致します。このような患者様が入院医療を受けられないという、このままの医療政策を進めてもよいのか、今後の日本の医療のあり方について共にお考えいただければ幸いです。 (2007/6/22)
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