謹啓 愈々盛夏の候、貴下ご清祥の事と存じます。
突然にお便りを差し上げる失礼をお赦し頂きたいと思います。
さて、日本も政権選択の夏となり、結果次第では医療や福祉についての政策も大幅に変るかもわかりません。いかに政権が変ろうとも厳然たる事実として到来するのが超高齢化社会であり、今や急性期医療の現場でも患者の3分の2以上が高齢者という時代となっております。高齢者を身体的には成人の一部と考えることは異論が多く、小児科と同じように身体環境の異なった集団として特別な治療が必要とされております。そのため、旧来より各大学に老年医学の講座が創設され、日本も高齢者に対する医療の学問的、研究が進んでいることは誠に評価されるべきことと存じます。
さて、先日、小山秀夫静岡県立大学教授からお聞きしましたが、神戸大学では老年医学講座が廃止されるとか、何かの間違いであって欲しいと思いますが、今後爆発的に増加し、老年医療の需要が大きくなるこの時にもしも事実であるならば時代に逆行するものではないかと危惧しております。
私達、日本慢性期医療協会では、高齢者の医療を担当する機会が多くあり、全国の老年医学の先生方にはご支援をいただき、診療に大いに参考にさせて頂いており、大変助かっております。特に国立大学の関西の雄である神戸大学で講座がなくなるのではないかということで会員はショックを受け落胆を禁じえません。もしも可能でありますれば、ご再考についてよろしくお願いしたいと存じます。
場合によっては、講座存続のための基金も考慮させて頂きたいと思います。時代の背景や日本の現状に鑑みて、ご高配いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。 |