日本慢性期医療協会

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平成24年度介護報酬改定への要望書 介護療養病床について

厚生労働省老健局長
宮島 俊彦 殿

日本慢性期医療協会会長 武久洋三
介護保険委員会委員長 清水 紘

平成24年度介護報酬改定への要望 介護療養病床について

 本年6月22日に「介護サービス基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が公布され、介護療養型医療施設の廃止期限は6年間延期されました。しかしながら、これはあくまでも廃止の延期であって廃止が撤回されなかったことは誠に遺憾であります。

 厚生労働省の「医療施設・介護施設利用者に関する横断調査」の速報値によりますと、介護療養病棟では経鼻経管・胃ろうの患者割合は調査対象のどの施設よりも高い割合(36.8%)を示しており、喀痰吸引を必要とする患者も18.3%と高い割合を示しています。これらの結果は、当協会が平成22年10月および平成23年2月の2回にわたり実施した調査においても同様の結果を示しており、要介護度,認知症度が高くかつ医療の必要性の高い患者が多く入院されていることが明らかになりました。また、介護療養型老人保健施設においても、経鼻経管・胃ろうは35.1%,喀痰吸引は14.9%と高い割合を示していますが、退所者の約半数は医療機関へ戻っている事実があります。これは医師、看護師が少ない状態では、やはり医療的ケアが困難な事を示しています。これでは何のための転換か判りません。

 国立社会保障・人口問題研究所では「死に場所」のない人が2030年は約47万人に、認知症高齢者は2025年には323万人になると推計しています。医療スタッフの少ない施設では、患者が重症になればすぐに医療機関に転院させます。認知症患者、特に合併症を有する認知症患者については、受け入れ先もなかなか見つからないのが現状であり、まして介護療養型医療施設がなくなれば、高齢者が安心して療養生活を送る場所の確保ができなくなります。

 介護療養型医療施設は、在宅や居宅系施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設では困難な医療的ケアやターミナルケア、合併症を有する認知症ケアを行う施設として今後も必要不可欠であり、介護療養型医療施設の廃止の撤回を強く要望します。

 そして、介護療養型医療施設の役割をより明確にし、その機能を十分に発揮できるよう平成24年度介護報酬改定に関し、以下を要望します。

1.介護療養型医療施設を存続すること

2.現行の介護報酬を引き下げないこと

3.要介護度4、5の評価を上げること

4.地域区分ごとの報酬単価は現状を維持すること

5.介護職員処遇改善交付金を介護報酬上で評価すること

6.サービス提供体制強化加算計算時の分母を配置標準数とすること

7.平均在院日数の短縮への評価を行うこと

8.在宅復帰率の評価の充実を行うこと

9.医療必要度の高い患者には重度加算の評価を行うこと

10.初期加算(救急病院連携等からの入院、在宅連携)の評価を行うこと

11.合併症を有する認知症患者の受入は初期加算としての評価を行うこと

12.癌ターミナル加算の評価を行うこと

13.特定診療費の理学療法等のリハビリテーション算定回数上限(10回)を撤廃すること

14.入院中の患者の他医療機関受診時における介護報酬は30%減算した額とすること

15.看護職員配置6:1、介護職員配置5:1、6:1の施設基準を平成24年4月1日以降も存続させること
また看護職員配置25:1(5:1)については加算の評価を行うこと

16.夜勤看護に関する64時間制約を撤廃すること

17.介護老人保健施設や介護老人福祉施設へ入院患者が移る場合の情報提供等の連携に対する加算を新設すること

18.チーム医療加算(栄養ケアチーム,薬剤師,社会福祉士)の評価を行うこと。また医師事務作業補助体制加算の新設および医療相談員(社会福祉士等)の配置に対する評価を新設すること

19.短期入所療養介護の療養食加算は、支給限度額管理の対象外とし、特定診療費の項目に移行させること

20.低栄養・脱水改善食、ソフト食等の形態改善食を療養食加算に加えること

以上

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