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新しい年を迎えて 
- 療養病床として介護保険・医療保険双方の使命を果たす -
     

明けましておめでとうございます。日本療養病床協会に団体名を変更してからはじめての新年です。

介護療養型医療施設連絡協議会の時代は介護保険にしかものがいえない状態でしたが、日本療養病床協会では医療保険にもものがいえるようになり、より大きな使命が肩にかかってくると考えています。介護報酬改定の時に感じたことですが、医療保険との関連が重視され、医療保険の枠を超えて報酬や基準・通知を考えることは難しいです。したがって、医療保険の療養病床の診療報酬や通知をしっかり認識しておかないと、介護保険の報酬にも影響が及ぶことになります。

当面、4月の診療報酬改定にどう対処するかが問題ですが、病院であることを再確認し、看護職員の配置の増加を訴えていこうと思っています。最高で5:1の看護では少なすぎます。そこで、少なくとも4:1看護は必要であることを各方面に訴えていく所存です。それは、今盛んにいわれている医療・看護・介護の質の向上・安全の確保のためにもどうしても必要なことと考えているからです。これは、財政難がいわれている状態では一朝一夕に実現するのは難しいことですが、ここでいわなければ実現することはないでしょう。各方面に広く訴え続けていく必要があります。
   しかし、当会では2003年7月に行ったアンケート調査の結果では、介護療養型医療施設で:1介護を続ける病院が46.5%であるのに対し、4:1介護に減らした病院は11.8%、自然減を待って4:1介護にする病院が23.6%、具体的な方法を考えていないが介護職員を減らす予定である病院は7.9%で合計は43.3%にもなります。

介護報酬改定の時に:1介護は最低基準と主張し続けて今の介護報酬が決まった経緯からすると、半数近い介護療養型医療 施設が4:1介護になってしまうと、この主張は崩れてしまいます。また、介護療養型医療施設は4:1介護で十分という議論が復活し、次回の介護報酬のときに報酬を大幅に引き下げられる可能性があります。ここは、ぜひ人員の確保をお願いしたいところです。2:1看護・介護は患者さんや職員を守る最低の人員です。職員の満足なしによいサービスの提供はできないと考えています。

高齢者の肺炎などは、特殊な例を除いて介護付き医療ができる療養病床の方がはるかに効率がよく、褥瘡や廃用性症候群を起こすことなく、治りも早いと考えています。合併症のある患者さんもたくさんいます。痴呆のある患者さんの多くは症状をうまく訴えられず、どこが痛くても苦しくても、正しくそれを表現できません。これが問題行動として現れることもあり、肺炎や心筋梗塞につながることもあります。
   いち早くこれを発見し対応するのは、看護師をはじめとする療養病床の医療スタッフです。療養病床こそ、このような痴呆患者さんを看る病院だと思っています。それには、基本となる根拠に基づく技術や正確な知識を身に付けなければなりません。今年はそのための研修にも力を入れたいと思います。
   リハビリテーションの充実も重要です。介護療養型医療施設は老人保健施設よりリハビリテーションが見劣りするといわれていましたが、当会の2003年7月調査では理学療法2以上の基準を持つ病院は75%にもなってきており、リハビリテーションの充実が進んでいると思われます。これを、100%に持っていく必要があると考えています。

われわれのケアするお年寄りは、日本のよい文化、食習慣、緑に満ちた自然、自然をうたった歌などに親しんでいます。この文化を私たちが学び理解しなければ真のケアはできないと思っています。決してケアする側の文化や価値観を押しつけてはいけません。また、高齢者に接する機会の多い私たちは、よい日本の習慣や文化を後世に伝えていかなければならない立場にあるとも思っています。

医療療養病床の行く末を案じる意見が多いですが、存続するかどうかは、私たち一人ひとりの肩にかかっているといえます。病院としての機能を維持し、その価値を私たちが広く世間に訴えていかなければいけないと考えています。

(2004/1)

 

 
 

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