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療養病床としての機能を明確にして次回の報酬改定に反映を
     

診療報酬改定は±0% 診療報酬への影響は少ない

平成16年4月の診療報酬改定は±0%の改定で総額は変わらない前提で行われており、また慢性期の報酬にはほとんど触れられていないので、療養病床には影響は少ないと思われる。 さらに、介護報酬の改定や介護報酬に関わる通知の変更は行われておらず、介護保険の病棟や訪問看護の介護保険部分の変更はない。そのため、リハビリテーション(以下、リハ)の総合実施計画書様式9-2の使用や訪問看護ステーションからの言語聴覚士の訪問は介護保険ではできないことになる。

次に具体的内容に少し触れてみる。

亜急性期入院医療管理料の新設 2,050点

亜急性期医療を評価し新設された。一般病床に設けられ最大40床。急性期後や在宅や介護保険施設での急性変化の患者の治療を想定している。療養病床では亜急性期入院医療管理料を算定できないが、このような患者は療養病床でも診るべき患者であると考えている。

次回改定の時には、慢性期の患者をADLや病態で分類し報酬を決めようという動きがあるが、中医協がどのような動きになるかはっきりしない現状では想像がつかない。療養病床は病院であるという認識を自ら高めるとともに、国民に広く認識して、もらう必要がある。特に急性期病院にその機能を理解してもらう必要を感じている。そのために必要な医療やリハを積極的に行っていくべきである。

定額なので、肺炎などの治療は一般病床に移すこと等は自らの首を絞める結果になる恐れが大きいことを経営者は認識する必要がある。目先の利益だけにとらわれた考えは大変危険である。医療人としての誇りを持って日頃の医療に当たり、その成果を広くデータとして公表していくべきである。

次回改定では、療養病床で医療を多く行う患者の評価のあり方と、報酬の支払方法について提言していきたいと思っている。今後、当協会でもアンケート調査が増えると思うが、次回の診療報酬・介護報酬改定がより良いものになるように、ご協力をお願いする次第である。

リハ関係

・言語聴覚療法(3)の新設
・急性発症の脳血管疾患等の患者範囲の拡大
・リハ実施計画書、リハ総合実施計画書様式9-2の追加

療養病床は、維持期リハの中核になるべきである。リハは老人保健施設が行うという見方があるが、療養病床は医師や看護師など多職種の職員がおり、チームリハを行うのに優れていると考えている。この主張を広げ、会員病院の皆様には現場での実績をあげていただきたい。今、療養病床で行われているリハの現状を調査しており、その結果で療養病床でのリハのあり方を提言する予定である。

特殊疾患療養病棟入院料・特殊疾患入院施設管理加算

・神経難病のうち、パーキンソン病の表現がパーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病)となり、多系統萎縮症(綿条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症)が追加。
・特殊疾患療養病棟入院料2の基準で、「重度の肢体不自由児(者)が日常生活自立度のランクB以上に限る」と明文化された。要介護4,5の多い病棟で病棟床面積が患者1人につき16平方メートル以上ある病院では、特殊疾患療養病棟入院料2の算定を考慮する選択肢もある。ただしリハ料は算定できないが、超重症児(者)、準重症児(者)入院診療加算は算定できる。特殊疾患療養病棟では、人工呼吸器使用時に600点加算できる。

療養環境

廊下幅で「両側に居室」の考え方が、両側にある居室の出入り口が当該廊下に面している場合に限ると明文化された。社会保障審議会介護保険部会で移行型の療養病床の環境が劣悪であるという発言が繰り返されている。

また、3月24日の第11回介護保険部会で、入所施設のあり方について、「在宅と施設のケアの属性という観点から、施設におけるケアについても、できる限り在宅に近い形での個室・ユニットケアを普及していくとともに、医療面を含め重度化への対応が必要ではないか」となっており、療養環境の整備の必要がある。しかし、個室・ユニットケアについては議論が多く、介護療養型医療施設としても今後検討していくべき事項であると考える。

他医療機関の受診

70%控除した額を算定すると、85%控除から緩和された。外泊時は今まで通り85%控除。

病棟移動時の入院料

すべて移動先の病棟の入院料を算定する。

褥瘡患者管理加算の新設

評価を行った日に入院中に1回算定、届出が必要である。褥瘡対策未実施減算の要件の見直しで、様式は「褥瘡に関する危険因子評価表」に簡素化された。

精神医療

精神医療関係では算定項目は増えたが、点数は低く、今後の課題と考える。

まとめ

今回の診療報酬改定では療養病床の報酬に大きな変化はなかったが、療養病床は病院らしく医療や看護・介護を行い、一般病床と違った機能を明らかにしていくとともに、他の介護保険施設とも異なった機能を持つことを自覚し、その結果を次回の報酬改定に反映したいと考えている。

 

(2004/7)

 

 
 

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