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食事サービスに関する意識調査について   集計結果(PDF形式)
 

食事と栄養委員会 西本悦子(博愛記念病院給食課長)

 日本療養病床協会『食事と栄養委員会』では、食事サービスと栄養ケア業務の両面から諸問題に取り組んでおり、高齢者の低栄養と食事のあり方について専門的に研究を行なっています。その中で、食事サービスや栄養ケア業務の質の保証に関する取り組み推進の基礎資料とするため、会員病院の管理栄養士の方に協力をお願いし「食事サービス・栄養ケア業務の実態調査」を行ない、結果については前回報告をさせていただきました。

 その結果より、患者の満足度を高めるために「効果的な配膳方法」や「栄養ケア業務必要性の認識」についてさらに検討することとなり、そのためには管理栄養士からみた実態調査のみで判断するのではなく、他職種、特に日々患者の一番近くで業務に就いている看護職・介護職の方からみた問題点を把握し、意見を参考にする必要があると考えました。そこで、会員633病院を対象に「食事サービスに関する意識調査」を実施し、1068名(看護職536名・227病院、介護職532名・228病院)から回答を得ましたので報告致します。

 食事サービス面については、「貴院の施設の食事を毎日食べたいですか」との問いに対して「どちらともいえない」又は「いいえ」と答えた方が約80%も占めており、その理由は「飽きる」が55%と最も多く、続いて「食べたいものがない」が24%でした。給食システム効率化のためのサイクルメニュー見直しの必要性や、院内で食事に関する意見を気軽に言える仕組みの必要性が感じられました。

 また「おいしい食事の条件」や「病院の食事で重要なこと」についての質問からは、「あたたかく」「見た目がよく」「食べやすい食事」の開発が求められていることもわかりました。

 栄養ケア業務の面については、「低栄養状態の患者の割合は院内全体でどのくらいいると思いますか」との問いに対して、「よくわからない」が40.9%、続いて「20%以下」が27.4%、「20〜30%」が12.3%でした。病院によって多少差がありますが、一般には高齢者が入院する病院の多くで低栄養状態の患者は30〜60%にみられるとの報告があり、現実と認識に差があることが予測されました。

 また、高齢者の低栄養予防・改善のためには、栄養課単独ではなく院内で多職種とチームとなって「いいえ」又は「聞いたことがあるが内容は知らない」と答えた人が約60%も占めていました。高齢者の低栄養状態が重要な問題となっている実態を院内全体で十分に認識することが栄養ケア業務の第1歩であると感じます。

   

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