在宅療養連携のモデルがこれまでいくつか示されている。しかし、これらのモデルは急性期病院から直接、診療所に連携せざるを得ない地域事情と開業医の献身的な努力がその背景にあり、一般的な普及は難しいであろう。
今後、急性期病院の平均在院日数がさらに短縮されれば、回復に日数を要する高齢者は、在宅や介護保険施設に移行するために少なくとも1〜2ヶ月は回復期リハや療養病床などの慢性期病院への入院を必要とする。高齢者にとっては、急性期での入院期間が2週間程であったとしても、筋肉の萎縮や関節の拘縮が始まる。そのQOLを回復するためには慢性期病院の役割は欠かせない。
また、在宅、あるいは介護保険施設等で嚥下性肺炎、低栄養、脱水、尿路感染症、褥瘡など、高齢者に特有の急性増悪を起こした場合は、地域の慢性期病院でリハビリテーションを受けながら治療することが早期回復につながるであろう。
徳島市は、医師数と医療機関数、介護保険施設数が人口比において全国でもトップクラスにある。この恵まれた地域で、「徳島方式」という新たな地域連携を作りつつあるので報告したい。
「徳島方式」では、『開放型病床連携』、『在宅療養支援診療所連携』、『緊急入院連携』の3パターンがあり、全てに連携するか、いずれかに連携するかは開業医が自由に選択できる。『開放型病床連携』は、療養病床のベッドを開放し、開業医は入院させた自分の患者を回診し、必要な検査・治療を行い、自らの判断で退院させることができる。
この「徳島方式」の一番の特徴は、急性期病院・療養病床等の慢性期病院・介護保険施設・開業医等の相互連携である。慢性期病院が持つ公的機能を最大限に活用しようとするものである。
各ステップで各医療機関がそれぞれの役割を果たすならば、真の意味で患者のために継続した医療・介護が実現すると考える 。
※イメージ図はPDFでも参照できます。
(https://jamcf.jp/chairman070622-2-2.pdf ) |